フランスのジョン・ディクスン・カー

FRA ポール・アルテ
(Paul Halter)

第四の扉
「第四の扉」
(1987年)
(早川書房)

 フランスのジョン・ディクスン・カーと称される、近年とても注目されている本格作家です。ロマン・ノワール小説やサスペンス小説が主流であるフランスのミステリ業界で本格にこだわり続け、際立った存在として注目されています。

 幼い頃から家族の影響でミステリーを読み始め、16、7歳頃にはもうクリスティーを全て読破していたといいます。その後ハドリー・チェイスの作品を経て、やがて彼の師匠とも言うべきディクスン・カーに出会い、熱烈なファンになります。

 そしてディクスン・カーのシリーズ探偵であるギデオン・フェル博士ものの続編を自ら書いてみたいという気持ちから、自らもミステリーを書き始めたそうです。

 この点、彼の作品に登場するツイスト博士は、ディクスン・カーのフェル博士とは違い痩せていて風貌こそ違うものの、その探偵法や振る舞いなどはまさにフェル博士がお手本となっています。
  また、その作風も密室殺人に怪奇趣味を絡めた不可能犯罪にこだわったものとなっていて、まさにディクスン・カーを彷彿とさせます。

赤い霧
「赤い霧」
(1988年)
(早川書房)

 1987年に発表した最初の長編「第四の扉」でコニャック・ミステリ大賞を獲得して以来、毎年のように順調なペースで作品を発表し続けています。

 また翌1988年にはノン・シリーズ長編の「赤い霧」で冒険小説大賞も受賞。他に冒険小説もいくつか発表してこちらのジャンルでも優れた作品を世に送り出し、多才な所を見せてくれています。


■作家ファイル■

出身地
フランス北東部アルザス地方の町アグノー
生没
1956年~
作家としての経歴
1986
55部限定の私家版として「赤髭王の呪い」を発表するも刊行には至らず(後の1995年に刊行される)
1987
最初の発表作品アラン・ツイスト博士もの長編第1作「第四の扉」でコニャック・ミステリ大賞を受賞
1988
ノン・シリーズ長編「赤い霧」で冒険小説大賞を受賞
シリーズ探偵
犯罪学者アラン・ツイスト博士 (Dr. Alan Twist)
オーウェン・バーンズ&アキリー・ストック (Owen Burns & Achilles Stock)
代表作
【ツイスト博士】
「第四の扉」
【ノンシリーズ】
「赤い霧」

■関連リンク■

1 ポール・アルテ公式サイト(英語)


■著作リスト■

1 犯罪学者アラン・ツイスト博士登場作品リスト

2 オーウェン・バーンズ&アキリー・ストック登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Le Roi du désordre 1994 -
2 Les Sept Merveilles du crime 1997 -
3 Les Douze Crimes d'Hercule 2001 -
4 La Ruelle Fantôme 2005 -
5 La Chambre d'Horus 2007 -

3 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 赤い霧 1988 HPB1759 コニャック冒険小説大賞
2 殺す手紙 1992 HPB1840
3 Le Cercle Invisible 1996 -
4 Le Crime de Dédale 1997 -
5 Le Géant de Pierre 1998 -
6 Le Mystère de l'allée aux Anges 1999 -
7 Le Chemin de la Lumière 2000 -
8 Les fleurs de Satan 2002 -
9 Le tigre borgne 2004 -
10 Les lunes assassines 2006 -
11 La nuit du Minotaure 2008 -

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 La Nuit du loup 2000 - ツイスト博士3編他
全9編
1 L'Escalier assassin
殺人エスカレーター
HMM'09.9
2 Un rendez-vous aussi saugrenu -
3 La Marchande de fleurs -
4 Ripperomanie -
5 La Hache -
6 La Nuit du loup -

【評論・エッセイその他】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 ディクスン・カーに魅せられて HPB1732「死が招く
HMM'03.7
2 ”謎”と”血”と HPB1759「赤い霧」
HMM'04.11

【参考】「第四の扉」(早川書房 ハヤカワポケットミステリ)
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