競馬ミステリの名手

ディック・フランシス
(Dick Francis)

「興奮」
（1965年）
（早川書房）

　イギリスの推理小説家。ウェールズの由緒ある狩猟用馬厩舎の支配人の家に生まれ、幼少の頃から馬に親しむ生活を送ります。

　第二次大戦では空軍に入隊し、大戦が終るとアマチュアの障害騎手として活躍。1948年にはプロに転向し、1953から54年にかけては障害の全英チャンピオンにもなっています。

　1957年に引退後は、〈サンデー・エクスプレス〉紙の競馬担当記者となり、これらの経験を活かして1962年、競馬界をめぐる事件をテーマにした第１作「本命」を発表し作家デビューを果たします。

　その後も取材・執筆にあたり、妻メアリーの協力を受けた彼は順調に作品を発表し続け、第２作「度胸」でミステリー評論家アントニー・バウチャーからも絶賛されるなど高い水準の作品を数多く発表しました。

　そして数多くの作品でイギリス推理作家協会（CWA)とアメリカ探偵作家協会（MWA)の各賞を受賞していて、名実ともに現代を代表する作家の一人といえるでしょう。

「利腕」
（1979年）
（早川書房）

　また競馬界以外の数多くの職業の主人公の作品も徹底した取材をもとにして書き上げられていて、彼の創造した主人公はそのどれもが孤独ではあるものの誠実で正義感溢れた魅力溢れる人物として高い人気を集めています。

　中でもその作品中３作品に登場するシッド・ハレーが最も人気がありますが、彼は元チャンピオン・ジョッキーであったものの落馬して片腕を失い、以後は競馬専門の調査員となって活躍します。

■作家ファイル■

出身地

イギリス、ウェールズのペンブロークシャーのテンビー生まれ

生没

1920年10月31日～2010年2月14日（89歳）

作家としての経歴

1962

長編「本命」でデビュー

1965

「興奮」でイギリス推理作家協会（ＣＷＡ）賞のシルヴァー・ダガー賞を受賞

1970

「罰金」でアメリカ探偵作家クラブ（ＭＷＡ）賞の最優秀長編賞を受賞

1973

この年から1974年にかけて、ＣＷＡの会長に就任

1979

シッド・ハレーものの長編「利腕」を発表し、ＣＷＡ賞ゴールド・ダガー賞、およびＭＷＡ賞最優秀長編賞（'81）を受賞

1989

イギリス推理作家協会（ＣＷＡ）賞ダイヤモンド・ダガー賞を受賞

1996

シッド・ハレーものの長編「敵手」でアメリカ探偵作家クラブ（ＭＷＡ）賞の最優秀長編賞を受賞

1996

アメリカ探偵作家クラブ（ＭＷＡ）賞の巨匠賞を受賞

シリーズ探偵

競馬専門調査員シッド・ハレー (Sid Halley)
キット・フィールディング (Kit Fielding)

代表作

「興奮」
「大穴」「利腕」（シッド・ハレー）

ランキング

ＥＱアンケート10位
ハヤカワベスト100・６位

■関連リンク■

１　ディック・フランシス公式サイト

■著作リスト■

１　競馬専門調査員 シッド・ハレー登場作品リスト

２　キット・フィールディング登場作品リスト

３　その他の作品

【長編】

【短編集】

【邦訳短編】

【編書】

【ノンフィクション】

【自伝】

【研究書】

TOPへ