出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
659 |
夕立の前ぶれを思わせる陰鬱なある夏の午後─ニューヨークの無法地帯イースト・ハーレムを三人のチンピラが肩で風を切って歩いていた。彼らはイタリー系移民のチンピラが組織する愚連隊の一味で、プェルト・リコ系の愚連隊と絶えず血なまぐさい縄張り争いを起していた。三人はあるアパートの前に通りかかった。と、いきなりナイフを手にその薄暗い入口に立っていた少年に躍りかかった。少年はアパートの石段を血に染めて崩れ折れる……。被害者はプェルト・リコ系の愚連隊の一人だった。が、警察に逮捕された三人は、当然のように正当防衛を主張した─相手が先にナイフをみせたというのだ。しかし、この言い分も被害者が盲目だとわかり、簡単にくつがえされてしまった……。
この事件を担当したのは、いまや出世街道を驀進する新鋭検事補ハンク・ベルだった。彼の上役ダン・コール検事は現在、知事選挙に立候補し、世論の的である青少年犯罪の絶滅を公約していた。ベルの使命は重大だった。が、彼には人知れぬ悩みがあった─ベル自身、被告たちと同じイタリー系貧民街の生れであったうえ、殺人者の一人が昔の恋人の息子だったのだ!
現代のジャングル、ニューヨークの裏町に巣食う非行少年の赤裸な実態! 鬼才エヴァン・ハンターがアメリカの隠された真実をえぐる戦慄すべき犯罪小説の傑作! |