伯母殺人事件 タイトル

伯母殺人事件

原題

The Murder of My Aunt

発表年

1934

著者/訳者/解説

リチャード・ハル/大久保康雄/中島河太郎

カバーデザイン

イラスト 牛尾篤/デザイン 柳川貴代

ページ数

296
作品レビュー

あらすじ(解説文)

出版

東京創元社
創元推理文庫125-1
遺産を手に入れ、この恐るべき田舎から脱出するためにぼくは伯母を殺すことにした。とはいえ、潔癖なぼくは血が好かないし、暴力的な手段で伯母が最期を遂げたらたちまち疑われてしまうだろう。では……? 英国ウェールズの豊かな自然のなかで繰り広げられる、可能性の犯罪。全編にただよう形容しがたいユーモア、凝った物語で、倒叙推理小説に新しい境地を拓いた技巧派ミステリ。

初版

1960年

重版

2000年18版(640円)

入手

セブンアンドワイicon amazon

ISBN

4-488-12501-8

【感想】★★★★★

 アントニイ・バークリー、ロナルド・A・ノックスとともにミステリ界のクセ者の一人であるリチャード・ハルの代表作にして、バークリーがフランシス・アイルズ名義で書いた「殺意」とF・W・クロフツの「クロイドン発12時30分」と並んで倒叙推理小説の三大名作に挙げられる名作です。
 アイルズの長編「殺意」同様にただでは終わらなかった作品です(苦笑) ちなみに江戸川乱歩の1935年以降の海外長編ベスト10では「殺意」に次ぐ2位にランキングされてもいます。

 とにかく冒頭から中盤までは主人公の犯行が克明に描かれていくのですが、これが何とも言いようがない独特のユーモアと諷刺に満ちていて、一体この先どうなっていくのだろうと首を傾げてばかりいました。

 そうやって訳の分からぬまま読み進んでいき、結末に待っていたのは…とにかくあとはご自身で読んで頂くしかないという所で終わっておきますが、結末は本当に意外性に満ちて、二度とできないトリックだと思いますし、そこに至るまでにも実は巧妙に伏線が敷かれていて、あまりの素晴しさに嘆息せざるを得ない出来栄えです。

 ジャンル分けするのも難しい作品で、本格ともいえますし、もちろん倒叙型とも言えそうですし、サスペンスとも犯罪心理小説とも言えるでしょう。

 しかしどんなジャンルに入るにしろ傑作と呼べるほどに面白く、少なくても読んで損をしたとは思わない作品だと思います。ミステリの基本書として推薦したい一冊です。それにしてもハルの作品は全部このようなものなのでしょうか? 他の作品も是非読んでみたくなりました