【感想】★★★★★
アントニイ・バークリー、ロナルド・A・ノックスとともにミステリ界のクセ者の一人であるリチャード・ハルの代表作にして、バークリーがフランシス・アイルズ名義で書いた「殺意」とF・W・クロフツの「クロイドン発12時30分」と並んで倒叙推理小説の三大名作に挙げられる名作です。
アイルズの長編「殺意」同様にただでは終わらなかった作品です(苦笑) ちなみに江戸川乱歩の1935年以降の海外長編ベスト10では「殺意」に次ぐ2位にランキングされてもいます。
とにかく冒頭から中盤までは主人公の犯行が克明に描かれていくのですが、これが何とも言いようがない独特のユーモアと諷刺に満ちていて、一体この先どうなっていくのだろうと首を傾げてばかりいました。
そうやって訳の分からぬまま読み進んでいき、結末に待っていたのは…とにかくあとはご自身で読んで頂くしかないという所で終わっておきますが、結末は本当に意外性に満ちて、二度とできないトリックだと思いますし、そこに至るまでにも実は巧妙に伏線が敷かれていて、あまりの素晴しさに嘆息せざるを得ない出来栄えです。
ジャンル分けするのも難しい作品で、本格ともいえますし、もちろん倒叙型とも言えそうですし、サスペンスとも犯罪心理小説とも言えるでしょう。
しかしどんなジャンルに入るにしろ傑作と呼べるほどに面白く、少なくても読んで損をしたとは思わない作品だと思います。ミステリの基本書として推薦したい一冊です。それにしてもハルの作品は全部このようなものなのでしょうか? 他の作品も是非読んでみたくなりました
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