海の秘密 タイトル

海の秘密

原題

The Sea Mystery

発表年

1928

著者/訳者

F・W・クロフツ/向後英一

カバーデザイン

杉浦康平

ページ数

326
作品レビュー

あらすじ(解説文)

出版

東京創元社
創元推理文庫106-6
ウェールズ沿岸で釣りをしていた親子が釣った獲物は、死体をつめた箱だった。 地方警察の要請によってロンドン警視庁から派遣されたフレンチ警部は、この海の秘密と取り組むことになる。 腐乱しかけた下着一枚の男の死体、しかも顔は見分けがつかず、殺害の現場も被害者の身元も不明。 狡猾きわまる犯人は、ほとんど手がかりらしい手がかりを残していなかった。 クロフツ・ファンを堪能させる本格的な犯人探しのミステリ。 本邦初訳

初版

1964年

重版

1985年18版(430円)

入手

amazon

ISBN

4-488-10606-4

【感想】★★★★

 まさにクロフツらしい作品ですね。フレンチ警部の地道な捜査活動には本当に感心させられます。今回はフレンチ警部が大活躍で、私も大満足でした。

 冒頭の謎の提出というのがちょっと「樽」によく似ているかなとは思いましたが、まずまず面白かったです。ただ最初の捜査部分は容疑者もまだ出てこないで、少し分かりにくく退屈と言われても仕方ないのかなとは思いますが、それでもだんだん容疑者も登場してきて面白くなっていきます。

 プロットについてもよく練られていて、逆にちょっと複雑すぎて最初はよく分からなかったという感じでしたが、結末部分を読んで納得できました。よくありがちな動機のような気がしますが、それを上手く隠し通して見事という他なかったですね。少ない容疑者の中であれ程上手い構成を組み立てられるクロフツというのはやはりすごい作家だな、と改めて感じました。

 話としても二転三転して大きなどんでん返しではないのですが、充分盛り上がりは見せてくれたと思います。今回はアリバイ崩しは焦点とはいえないですし、新鮮な驚きもなく、衝撃度もさほどではないのですが、本格ファンなら思わず唸るような渋い作品だと思います。
 代表作には挙げられないことの方が多いためあまり期待して読まなかったのですが、予想以上に楽しめました。