おしゃれな貴族探偵(ノーヴル・スルース)

黄金時代を代表する女流作家ドロシー・L・セイヤーズが生みだした貴族探偵。
デンヴァー公爵家の次男として生まれ、大学卒業後は決まった職業に就くこともなく従僕のバンターや友人たちと悠々自適の生活を送っています。
博学で教養溢れる人物であり、また趣味も多彩で、犯罪学の研究や古書収集、音楽、クリケットなど幅広く愛好しています。音楽はバッハを好んで聴き、ワイン通で、食後にはバンターの入れたコーヒーを飲むなどおしゃれな生活を過ごしています。
趣味の犯罪学の研究が高じて犯罪捜査にも乗り出すようになり、友人のチャールズ・パーカー警部に協力を依頼されてしばしば捜査に協力します。貴族という自由の利く特権を活かして証拠を収集し、持ち前の推理力でたちまち事件を解決してみせます。
ピーター卿譚は長編が11編と3冊の短編集がありますが、第5作で女流作家のハリエット・ヴェインが登場したのをきっかけとして少し作風に変化が見られます。
元々キャラクター同士の会話ややりとりが生き生きと描かれているところに魅力があるシリーズですが、これ以降はピーター卿と彼女の恋の行方という新たな軸が生まれ、物語に更に厚みが出ています。
後期になるほど本格度は抑えられて、その代わり人物描写などにさらに磨きがかかり、登場人物の性格や心理状態が見事に描き出されているといえるでしょう。
またピーター卿は私生活ではあまり幸福ではなかった著者セイヤーズの理想の男性像をモデルとして、物語中期から登場する作家のハリエット・ヴェインはそんな彼女が自己を投影して描いたキャラクターだといわれています。

| No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
| 1 | 誰の死体? (ピーター卿乗り出す) (バターシイ殺人事件) |
1923 | 創元文庫183-2 別冊宝石48('55) 芸術社 推理選書8('56) |
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| 2 | 雲なす証言 (多過ぎる証人) |
1926 | 創元文庫183-3 六興出版部 六興推理小説選書103('57) |
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| 3 | 不自然な死 | 1927 | 創元文庫183-4 | |
| 4 | ベローナ・クラブの不愉快な事件 | 1928 | 創元文庫183-5 | |
| 5 | 毒を食らわば (毒) |
1930 | 創元文庫183-6 HPB189 |
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| 6 | 五匹の赤い鰊 | 1931 | 創元文庫183-7 | |
| 7 | 死体をどうぞ (死体を探せ) |
1932 | 創元文庫183-8 現代文芸社 モダンミステリ('57) 別冊宝石48('55) |
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| 8 | 殺人は広告する | 1933 | 創元文庫183-9 | |
| 9 | ナイン・テイラーズ | 1934 | 創元文庫183-10 集英社文庫 乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10 [10] 東京創元社 世界推理小説全集36('58) |
乱歩ベスト10・10位 EQアンケート9位 |
| 10 | 学寮祭の夜 (大学祭の夜) |
1935 | 創元文庫183-11 春秋社 傑作探偵叢書・飜譯編('36) |
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| 11 | 忙しい蜜月旅行 | 1937 | 早川文庫305-1 HPB413 |
ジル・ペイトン・ウォルシュとの共著
| No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
| 1 | Thrones, Dominations | 1998 | - | 1936年末の未完長編をジル・ペイトン・ウォルシュ補筆 |
| 2 | A Presumption of Death | 2002 | - |
| No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
| 1 | アリ・ババの呪文 | 1936 | 日本公論社 | 日本独自の短編集 |
| 2 | アリ・ババの呪文 | 1954 | 日本出版協同 異色探偵小説集4 | 日本独自の短編集 ピーター卿7編含む全13編 |
| 3 | ピーター卿の事件簿 | 1979 | 創元文庫183-1 | 日本独自の短編集 全7編 |
| 4 | 顔のない男 | 2001 | 創元文庫183-14 | 日本独自の短編集 全7編&評論など |
| No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 | |
| 1 | Lord Peter Views the Body (ピーター卿死体を観察する) |
1929 | - | クイーンの定員76 | |
| 1 | 銅の指を持つ男の悲惨な話 (銅指男) |
創元文庫183-1「ピーター卿の事件簿」 日本出版協同 異色探偵小説集4「アリ・ババの呪文」('54) 日本公論社「アリ・ババの呪文」('36) 新青年'35春期増刊 |
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| 2 | 趣味の問題 (文法の問題) |
1929 | 創元文庫183-14「顔のない男」 光文社文庫「クイーンの定員 II」('92) EQ'83.7(34) |
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| 3 | 因業じじいの遺言 | 1925 | 創元文庫183-14「顔のない男」 | ||
| 4 | The Fantastic Horror of the Cat in the Bag 靴の中の猫 (生首のはいった鞄) |
HMM84.5 新青年'37新春増刊 |
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| 5 | ジョーカーの使い道 | 創元文庫183-14「顔のない男」 EQ'93.1 |
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| 6 | 不和の種、小さな村のメロドラマ (爭いの元) |
創元文庫183-1「ピーター卿の事件簿」 別冊宝石71('57) |
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| 7 | 嗤う蛩音 (逃げる足音) |
日本出版協同 異色探偵小説集4「アリ・ババの呪文」('54) HMM'84.1 新青年'37秋季増刊 |
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| 8 | 二人のピーター卿 (二人のウィムジイ卿) |
1928 | HPB252「名探偵登場3」('56) 河出文庫「美酒ミステリー傑作選」('90) 大和書房「冷えたギムレットのように」('83) 日本出版協同 異色探偵小説集4「アリ・ババの呪文」('54) 日本公論社「アリ・ババの呪文」('36) HMM'77.12 新青年'34新年特大 |
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| 9 | 龍頭の秘密の学究的解明 (竜の頭の謎をめぐる知的冒険) (ドラゴン・ヘッドの知的冒険) |
1926 | 創元文庫169-2「暗号ミステリ傑作選」('80) バベル・プレス「本の殺人事件簿─ミステリ傑作20選2」('01) 番町書房 イフノベルス「続世界暗号ミステリ傑作選」('77) |
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| 10 | 盗まれた胃袋 | 創元文庫183-1「ピーター卿の事件簿」 | |||
| 11 | 顔のない男 | 創元文庫183-14「顔のない男」 HMM'93.7 |
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| 12 | アリババの呪文 (アリ・ババの呪文 |
1928 | 嶋中文庫 グレート・ミステリーズ12「伯母殺人事件・疑惑」('05) 日本出版協同 異色探偵小説集4「アリ・ババの呪文」('54) 日本公論社「アリ・ババの呪文」('36) 探偵倶楽部'53.9 |
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| 2 | Hangman's Holiday | 1933 | - | 全12編 | |
| 1 | 鏡の映像 (第四次元の世界) (鏡に映った影) |
創元文庫183-1「ピーター卿の事件簿」 日本出版協同 異色探偵小説集4「アリ・ババの呪文」('54) 日本公論社「アリ・ババの呪文」('36) |
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| 2 | ピーター・ウィムジィ卿の奇怪な失踪 (妖魔遁走曲) |
創元文庫183-1「ピーター卿の事件簿」 日本出版協同 異色探偵小説集4「アリ・ババの呪文」('54) 新青年'37特別増刊 |
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| 3 | 白のクイーン (女王の場所) (白い女王) |
1932 | 創元文庫183-14「顔のない男」 日本公論社「アリ・ババの呪文」('36) 日本出版協同 異色探偵小説集4「アリ・ババの呪文」('54) HMM'76.6 新青年'34.11 |
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| 4 | 真珠の首飾り | 新潮文庫「クリスマス12のミステリー」('85) 別冊宝石91('59) HMM'85.1 |
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| 3 | In the Teeth of the Evidence (証拠に歯向かって) |
1939 | - | 全17編 | |
| 1 | 証拠に歯向かって | 創元文庫183-14「顔のない男」 EQ'92.9(89) |
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| 2 | 完全なアリバイ (ライラック荘の惨劇) |
1933 | 創元文庫183-1「ピーター卿の事件簿」 日本公論社「アリ・ババの呪文」('36) 新青年'35夏期増刊 |
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| 4 | Striding Folly (歩く塔) |
1972 | - | ||
| 1 | 幽霊に憑かれた巡査 (化かされた巡査) (憑かされ巡査) |
1938 | 創元文庫183-1「ピーター卿の事件簿」 EQMM'58.1 新青年'38秋の増刊 |
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| 2 | 歩く塔 | 創元文庫183-14「顔のない男」 EQ'92.11 |
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| 3 | Talboys 桃泥棒 |
1942 | HMM80.7 | ||
| No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
| 1 | A Treasury of Sayers Stories | 1958 | - | 短編集1と2から |
| 2 | Lord Peter | 1972 | - |
| No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
| 1 | The Young Lord Peter Consults Sherlock Holmes 若きピーター卿、ホームズの依頼人となる |
1954 | HMM'04.4 | ホームズ生誕100年を祝して放映されたもの |
| No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
| 1 | Busman's Honeymoon 蜜月殺人事件 |
1937 | 新青年'39特別増刊(抄訳) | M・セント・クレア・バーンとの合作、長編「忙しい蜜月旅行」の原型 |
| No. | 事件名 | 発表年 | 邦訳 | 備考 |
| 1 | 警察官に聞け | 1933 | 早川文庫99-1 HMM'84.1-6 |
アントニイ・バークリーの手による |
| 2 | 大食祭の夜 (腹ぺこの夜) |
1942 | 創元推理15('96冬) HMM'81.12 |
E・C・ベントリーの手による |
【参考】「誰の死体?」(東京創元社 創元推理文庫)
「ピーター卿の事件簿」(東京創元社 創元推理文庫)