出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
856 |
バルコニーに出て、はだしで踊っている女の美しさが、16才のドミニック・フェルスの心を激しくうった。酔いつぶれ、手すりに手をかけたかと思うと、その女─キティ・ノリスは下にいるドミニックめがけて手に持ったハイヒールを投げ下ろした。ドミニックはそれをつかみ女に投げ返すと、家路を急いだ……この小さなエピソードはそれで終わるかに見えた。が、大事業家アルフレッド・アーマイジャーが、新しく作った豪華な酒場《陽気な酒場女給》で殺されたことが、二人に意外なめぐり合わせをもたらした。誰あろう、キティが殺人容疑者になってしまったのである!
こと金儲けにかけてはあくどいこともしかねないアーマイジャーではあったが、殺人には変わりなかった。彼は息子を勘当し遺産相続を拒否していたのだが、キティがその息子の恋人であったことも、彼女を不利にした。─たまたま父親がこの事件の担当刑事であったことから事件を知ったドミニックは、どうにかしてキティを救わなくてはならないと心に誓い、独りで必死に手がかりを求めはじめた。が、ロマンチックな夢を追って事件の渦中に飛び込んだドミニックにとって、事件はあまりにも大きかった!
1963年度アメリカ探偵クラブ賞に輝く異色傑作! |