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角川書店
角川文庫 赤541-6 |
風に伏しなびく苔桃やヒースの茂み。刻々と移りかわる空を背に黒くそびえたつドルメン岩。靄のヴェールをかぶった小高い山々。この荒涼たる原野(ムーア)がスティーヴンの恋人だった。彼こそがこの土地の君主なのだ。幼い頃から山に登り、廃鉱の坑道を探検し、彼は原野の隅々まで知りつくしていた。
その荒野で起きた異常な殺人事件、それに最初に気づいたのもスティーヴンだった。金髪を丸坊主に刈りとられた若い女の死体を見つけたのだ。彼の原野を侵す何者かが現れた……。
やがて発見された第二の死体も、金色の髪を刈りとられていた。そしてスティーヴンは、見棄てられた坑道の奥に奇妙なものを見つけたのだが……。 |