毒を食らわば タイトル

毒を食らわば

原題

Strong Poison

発表年

1930

著者/訳者/解説

ドロシー・L・セイヤーズ/浅羽莢子/澤木喬

カバーデザイン

イラスト 西村敦子/デザイン 矢島高光

ページ数

347
作品レビュー

あらすじ(解説文)

出版

東京創元社
創元推理文庫183-6
裁判官による説示。被告人ハリエット・ヴェインは恋人の態度に激昂、袂を分かった。最後の会見も不調に終わったが、直後、恋人が激しい嘔吐に見舞われ、帰らぬ人となる。医師の見立ては急性胃炎。だが解剖の結果、遺体からは砒素が検出された。被告人は偽名で砒素を購入しており、動機と機会の両面から起訴されるに至る……。ピーター卿が圧倒的な不利を覆さんと立ち上がる第五弾。

初版

1995年(600円)

重版

入手

セブンアンドワイicon amazon

ISBN

4-488-18306-9

【感想】★★★

 ピーター卿シリーズの後半の中心人物であるハリエット・ヴェインが初登場する本作品ですが、この作品は人物描写の点では文句のつけようがないほどとても素晴らしい作品です。登場人物がとても生き生きと描かれていて、読んでいるだけで楽しい気分にさせられる小説です。

 ただ本格推理小説という観点で評価するとなると意見は分かれそうです。真犯人も結末もそれほど意外ではありませんし、主人公であるピーター卿も今回はあまり表舞台には出てこず、脇役的な役回りに終始します。
 作風としてはどちらかというとF・W・クロフツを思わせるような探偵の捜査過程を、サスペンス的要素を取り入れて描いているという感じで、それはそれで十分楽しめましたが、もう少し謎解きの要素を盛り込んであれば傑作になり得た作品だと思います。

 ただ物語としては実に面白く、読後感も爽やかなのは相変わらずですし、それだけでセイヤーズの作品はどれも充分一読の価値があると思います。