【感想】★★★
ピーター卿シリーズの後半の中心人物であるハリエット・ヴェインが初登場する本作品ですが、この作品は人物描写の点では文句のつけようがないほどとても素晴らしい作品です。登場人物がとても生き生きと描かれていて、読んでいるだけで楽しい気分にさせられる小説です。
ただ本格推理小説という観点で評価するとなると意見は分かれそうです。真犯人も結末もそれほど意外ではありませんし、主人公であるピーター卿も今回はあまり表舞台には出てこず、脇役的な役回りに終始します。
作風としてはどちらかというとF・W・クロフツを思わせるような探偵の捜査過程を、サスペンス的要素を取り入れて描いているという感じで、それはそれで十分楽しめましたが、もう少し謎解きの要素を盛り込んであれば傑作になり得た作品だと思います。
ただ物語としては実に面白く、読後感も爽やかなのは相変わらずですし、それだけでセイヤーズの作品はどれも充分一読の価値があると思います。
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