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USA パトリック・クェンティン
(Patrick Quentin)
〔別名 クェンティン・パトリック (Quentin Patrick)〕
〔別名 ジョナサン・スタッジ (Jonathan Stagge)〕

死を招く航海
「死を招く航海」
(1933年)
(新樹社)
 もともとはイギリス出身で、アメリカに渡って活躍した推理小説家。

 ”パトリック・クェンティン”というのはペンネームで、実際は2人(ないし単独名義)の作家がコンビを組んで作品を発表しました。他にもクェンティン・パトリックとジョナサン・スタッジの2つのペンネームを使い分けて作品を発表しています。

 この点、関わった人物とその時期に発表された作品との関係が複雑でかなり分かりにくいですが、大きく分けて3つの時期があります。

 まず第1期はウェッブ単独か、それに加えてケリーないしアズウェルのどちらかがコンビを組んで作品を発表し、本格色のかなり強い作品が多いと言われています。

 第2期はウェッブ&ホイーラーの2人がコンビを組んだ時期で、この期間がもっとも長く、それに比例して作品数も多いです。ウェッブの本格色にホイーラーのサスペンス色を加味した複合的な要素を持つ作品が多いのが特徴です。
 
 第3期は健康上の理由からウェッブが離脱し、ホイーラー単独で作品を発表した時期ですが、この時期になると本格には捉われずに色々なジャンルの要素を加味した作風が目立つようになります。

 リチャード・ウィルスン・ウェッブはイギリスで生まれましたが、後にアメリカに渡って製薬会社の重役を務めています。作家としては第1期での単独ないし合作と、第2期のホイーラーとの合作に参加しましたが、1952年の「女郎ぐも」を最後に体調を崩して作家生活を断念し、以後はホイーラー単独での作品発表となります。

 ウェッブが参加した時期はダルース夫妻かトラント警部が活躍する作品が多く、「俳優パズル」に代表されるダルース夫妻ものの初期のパズル・シリーズ6作品は本格色が濃く傑作揃いといわれています。

 ヒュー・キャリンガム・ホイーラーも同じくイギリスに生まれ、ロンドン大学を卒業してアメリカに渡り、後に帰化しています。ミステリ作家としてだけでなく1960年代に入ると演劇の分野でも活躍をはじめ、この部門での賞もいくつか獲得しています。
二人の妻をもつ男
「二人の妻をもつ男」
(1955年)
(東京創元社)
金庫と老婆
「金庫と老婆」
(1961年)
(早川書房)

 ホイーラーは第2期でまずウェッブと合作をし、1952年のウェッブ離脱後は単独でクェンティン名義で作品を発表しました。この時期は「二人の妻をもつ男」などに代表されるように、本格と同時にサスペンスの色合いが非常に濃く、また悪女を題材にした作品が多いのが特徴です。

 また短編作家としても才能を発揮して、1961年発表の短編集「金庫と老婆」でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞の特別賞も受賞しています。

■作家ファイル■

本名&生没 ・リチャード・ウィルスン・ウェッブ(Richard Wilson Webb)(1901年〜?)
・ヒュー・キャリンガム・ホイーラー(Hugh Callingham Wheeler)(1912年〜1987年)
・マーサ・モット・ケリー(Martha Mott Kelley)(生没年不詳)
・メアリー・ルイーズ・アズウェル(Mary Louise Aswell)(生没年不詳)
出身地 イギリス
(ホイーラーはロンドン大学卒業後アメリカに移住し、1942年に帰化)
作家としての経歴
1931 最初の長編「Cottage Sinister」を発表
この年から1936年までは、ウェッブ、ウェッブ&ケリー、ウェッブ&アズウェルのいずれかの組合わせでで作品を発表する
1936 ホイーラーが加わり、パズル・シリーズ第1作「癲狂院殺人事件」を発表
以後1952年までウェッブ&ホイーラーで作品を発表し続ける
1952 「女郎ぐも」を最後にウェッブが離脱、以後はホイーラーが単独で作品を発表
1961 短編集「金庫と老婆」で、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞の特別賞を受賞
シリーズ探偵 ・ピーター・ダルース&アイリス夫妻 (Peter Duluth)
 (ウェッブ&ホイーラーのP・クェンティン名義9作品のうち8作で主役)
・ティモシー・トラント警部 (Timothy Trant)
 (Q・パトリック名義の作品と1952年の「女郎ぐも」以降のP・クェンティン名義の作品)
・開業医ヒュー・ウェストレイク医師 (Dr. Hugh Westlake)
 (ジョナサン・スタッジ名義のすべての作品)
代表作 【ダルース夫妻】
「俳優パズル」「女郎ぐも」

【トラント警部】
「わが子は殺人者」

【ノンシリーズ】
「二人の妻をもつ男」
「金庫と老婆」(短編集)

■著作リスト■

1 ピーター・ダルース&アイリス夫妻登場作品リスト

2 ティモシー・トラント警部登場作品リスト

3 ヒュー・ウェストレイク医師登場作品リスト(ジョナサン・スタッジ名義)

No. 事件名 発表年 名義 邦訳 備考
The Dogs Do Bark
(英 Murder Gone to Earth)
1937 JS ウェッブ&
ホイーラー
-  
Murder by Prescription
(英 Murder or Mercy)
1938 -  
The Stars Spell Death
(英 Murder in the Stars)
1939 -  
Turn of the Table
(英 Funeral for Five)
1940 -  
The Yellow Taxi
(英 Call a Hearse)
1942 -  
The Scarlet Circle
(英 Light from a Lantern)
1943 -  
Death, My Darling Daughters
(英 Death and the Dear Girls)
1945 -  
Death's Old Sweet Song 1946 -  
The Three Fears 1949 -  

4 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 名義 邦訳 備考
Cottage Sinister 1931 QP ウェッブ&
ケリー
-  
Murder at Cambridge
(英 Murder at the Varsity)
1933 QP ウェッブ -  
死を招く航海 QP ウェッブ&
アズウェル
新樹社 エラリー・クイーンのライヴァルたち3('00)  
Murder at the Women's City Club
(英 Death in the Dovecote)
1935 QP ウェッブ&
ケリー
-  
グリンドルの悪夢 QP ウェッブ&
アズウェル
原書房 ヴィンテージ・ミステリー・シリーズ('08)  
Death Goes to School 1936 QP ウェッブ&
ホイーラー
-  
File on Fenton and Farr 1937 QP -  
Return to the Scene
(英 Death in Bermuda)
1941 QP -  
追跡者
(影を追う男)
(エリーはどこへいった?)
1950 PQ 創元文庫147-2
集英社 ジュニア版世界の推理22('73)
学研 中学二年コース'69.6第2付録(抄訳)
 
10 Danger Next Door 1951 QP -  
11 二人の妻をもつ男 1955 PQ ホイーラー 創元文庫147-1
東京創元社 現代推理小説全集3('58)
東京創元社 世界名作推理小説大系23('61)
 
12 網にかかった男 1956 創元文庫147-5  
13 疑惑の場 1957 HPB732 主人公ニッキー
14 わたしの愛した悪女 1960 HPB693  

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
  金庫と老婆 1961 HPB774
(5〜7を除く)
MWA賞特別賞
クイーンの定員119
PQ(ホイーラー)
  1 金庫と老婆      
2 少年の意志   早川書房 世界ミステリ全集18「37の短篇」('73)
荒地出版社「戦後推理小説・ベスト15〈1945−1959〉」
QP
3 親殺しの肖像
(ある殺人者の肖像)
1942 創元文庫100-5「世界短編傑作集5」('61)
東京創元社 世界推理小説全集71「世界短篇傑作集3」('59)
QP
4 姿を消した少年      
5 Witness for the Prosecution
検察側証人
(11才の証言)
1946 東京創元社「アメリカ探偵作家クラブ傑作選2」('61)
EQMM'57.3
QP
6 The Pigeon Woman
鳩の好きな女
  EQMM'58.1 QP
7 All the Way to the Moon
はるか彼方へ
1951 HMM'03.6 QP
8 母親っ子      
9 汝は見たもう神なり 1949 EQMM'59.1  
10 ミセス・アプルビイの熊      
11 ルーシイの初恋
(ルウシイの初恋)
1947 青弓社「殺人コレクション」('92)
EQMM'57.10
QP
12 不運な男 1948 早川文庫80-7「エドガー賞全集/上 アメリカ探偵作家クラブ傑作選6」('83)  

【邦訳中短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
ダイヤのジャック 1936 別冊宝石70('57) QP
Murder on New Year's Eve
大晦日の殺人
1937 宝石'56.12 PQ
Another Man's Poison
他人の毒薬
(クナドスン博士)
1940 EQMM'61.8
ポプラ社 ジュニア世界ミステリー16「病院の怪事件」('68)
QP
The Last of Mrs Maybrick 1943 -  
This Way Out 1947 -  
七転八起 1948 HPB722「EQMMアンソロジー I」('62) PQ
Mrs. B.'s Black Sheep
(Passport for Murder)
1950 -  
Death Fright 1951 -  
Town Blonde, Country Blonde -  
10 笑う男 1953 中学三年コース'64.3第3付録 中学生傑作文庫
EQMM'64.1
PQ
11 The Hated Woman -  
12 The Red Balloon -  
13 The Glamorous Opening 1954 -  
14 Death and Canasta -  
15 The Predestined -  
16 Going, Going, Gone ! 1956 -  
17 Lioness vs. Panther 1958 -  
18 深夜の外科病室   鶴書房 ミステリ・ベストセラーズ QP
原題不明(3と同じ?)
19 ふとった猫   二見書房「気ままな猫の14物語」('91) PQ
20 ビフテキとハンバーガー   芸術社 推理選書「四つ辻にて」 PQ
どのシリーズか不明

【ノンフィクション】

No. 事件名 発表年 名義 邦訳 備考
The Girl on the Gallows 1954 QP ウェッブ&
ホイーラー
- 犯罪実話

 


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