出版 |
河出書房新社
メグレ警視シリーズ37 |
セーヌ河岸にたむろするルンペンが襲われた。仲間から《お医者さん》と呼ばれているおとなしい中老の男である。橋の下で寝ているところを、頭を殴られ、川に投げこまれた。付近に停泊中の川船の船頭に助けあげられ、意識不明のまま病院に送りこまれた。船頭の供述によれば、同時刻ごろ河岸に現われた赤いプジョーの二人組の犯行と見られる。一方、メグレ夫人の協力により、ルンペンの身許が判明した。二十年前に蒸発したミュルーズの医師で、夫人と娘が今はパリに住んでいる。事件としては些細だが、ルンペンが襲われたという珍しい事例に、メグレは興味を惹かれた。 |