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角川書店
角川文庫 赤503-1 |
男はメグレの目前でピストル自殺を遂げた。この浮浪者同然の男が、ブリュッセルで3万フランの大金を送るのを目撃して以来、警部は後を尾けていたのだ。遺品はすりきれた黒い鞄一つ。中には、ぼろに等しい古着が一着。
鑑識の結果、上着には10年以上前に付着したと思われる、かすかな血痕があった。そして不可解なことに、自殺した男は生前、大金を各地からパリの自宅に送っては、それをすべて燃やしていたというのだ。
執拗なメグレの捜査の前に、死んだ浮浪者の哀切な過去と、かつてのおぞましい事件が再現されてゆく─。
妖異なムードを湛えた、シムノン推理の異色傑作! |