出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
257 |
本書『死体置場で会おう』はハード・ボイルド派の新人ジョン・ロス・マクドナルドの長篇で、評判の高かった『象牙色の嘲笑』『人の死に行く道』(ともにハヤカワ・ポケット・ミステリ既刊)につづく傑作である。
事件は、富豪の一人息子の少年が誘拐されたことに端を発して、次々に幾つかの死が登場する。戦争中、日本空軍の神風攻撃のため沖縄で負傷した元アメリカ海軍の兵曹長と、同じ軍艦に勤務して脱走した元水兵、その恋人、そして、事件に巻き込まれてゆく弁護士、私立探偵などが、ハリウッド的世界のなかで、様々な陰翳を帯びつつ、生き死にしてゆく。これはまさに、ジョン・ロス・マクドナルド独特のスピーディな緊迫性、高い文学的香気をたたえた筆致によってのみ、描き出され得るものだ。
ジョン・ロス・マクドナルドが、実は心理探偵小説の作者として有名なマーガレット・ミラーの夫ケネス・ミラーであることは、既に読者の衆知の事実であろう。 |