出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
651 |
ルイ15世の軍隊に籍をおく兵卒エスカルゴは、インドの灼けつくような暑さと激しい軍務に嫌気がさし、脱走もいとわない心境だった。あるとき、街はずれの寺院にいき、その奥深く安置された神像の目に大粒の宝石が嵌めこまれているのを知った。彼はその足で貿易船の船長を訪れ、宝石の話を持ち出した─ヨーロッパまで送ってくれたら、宝石を現金にかえ、たんまりお礼をする、と。一人の僧侶がこの涜神者を見つけ、警鐘を鳴らしに走った。だが、それより一瞬早くエスカルゴは手に持ったナイフで僧侶をつき刺した。僧侶は断末魔の呪いを発した─その宝石をかえせ! さもなくば神の呪いをうけるであろう……。果してその言葉どおりエスカルゴは、狡猾な船長とその部下によって、宝石を取りあげられたうえ、フカのいる海の投げこまれてしまったのだ!
かくてその宝石は、1792年のフランス、1871年のニュー・オーリンズ、そして1941年の東京と人々の手を転々とする……。 呪われた宝石をめぐり、奇しくもその宝石を入手した人間の不幸な運命を描く、巨匠ウールリッチの力作! |