ミステリー・推理小説データベースTOPホームズ時代
法廷・倒叙
怪盗小説

倒叙型推理小説の創始者

UK リチャード・オースチン・フリーマン
(Richard Austin Freeman)
〔別名 クリフォード・アッシュダウン (Clifford Ashdown)〕

ソーンダイク博士の事件簿 I
「ソーンダイク博士の事件簿 I 」
(『歌う白骨』所収の短編収録)
(東京創元社)
 イギリスの小説家で、シャーロック・ホームズの最も重要なライヴァルにして、科学探偵ソーンダイク博士の生みの親です。

 またイギリスではアガサ・クリスティー、ドロシー・L・セイヤーズ、H・C・ベイリー、F・W・クロフツと並び5大作家の一人に位置づけられている作家です。
 それだけではなく、様々な意味でミステリの世界では重要な活躍をしました。

 まず、指紋が捜査活動に活用されるようになったのは1901年からだそうですが、警察が思いつくはるか以前に指紋偽造の可能性を立証し、こういった指紋も絶対的な証拠ではないとその危険性を主張していたといいます。

 そして現代では刑事コロンボや古畑任三郎でわが国でもお馴染みである、「[1] まず犯行の詳細が物語られ、[2] それを名探偵がいかに解明していくかが綴られる」というタイプの小説、いわゆる〈倒叙型〉の推理小説の発明者でもあります。

 これについてはソーンダイク譚の第2短編集「歌う白骨」(1912年)に収められている中編「オスカー・プロズキー事件」がその最初の作品とされています。

 フリーマンは、トリックが思い浮かぶと友人とともに実験し、写真を撮ったりしながら一つ一つの作品を作っていったそうです。
 フリーマンの作品がリアリティに溢れ読者を納得させる内容を伴っていたのはこういった日々のたゆまぬ努力の賜物といえるのではないでしょうか。

 ソーンダイク譚はフリーマンが80歳を過ぎた頃まで書き続けられ、全部で21の長編と約40の短編がありますが、未訳のものも多く邦訳が待たれます。

 他にも怪盗ロムニー・プリングルという犯罪者を主人公とする怪盗小説なども合作で発表しており、こちらもアンソロジーなどに邦訳がいくつかなされています。
オシリスの眼
「オシリスの眼」
(1911年)
(早川書房)

■作家ファイル■

出身地 イギリス、ロンドン、ソーホー区
学歴 洋服仕立て屋の家に生まれるも家業は継がず、ミドルセックス病院付属医科大学に6年在学し、医師資格を取得
生没 1862年4月11日〜1943年9月28日(パーキンソン病にて、81歳)
作家としての経歴
1898 イギリスの植民地だった西アフリカでの病院勤務の体験を元に処女作の体験記「アシャンティとジャマンの紀行と生活」を出版
1902 友人の医師ジョン・ジェームズ・ピトケアン博士との合作で〈キャッセルズ・マガジン〉誌に初の小説「怪盗ロムニー・ブリングルの冒険」をアッシュダウン名義で発表
1907 ソーンダイク第1長編「赤い拇指紋」を発表
1908 最初の短編「青いスパンコール」を〈ピアスンズ・マガジン〉紙に発表。物語に写真や図版を添付して読者の好評を得る
1909 ソーンダイク譚第1短編集「John Thorndyke's Cases」を発表、人気を博する
1912 ソーンダイク譚第2短編集「歌う白骨」において、世界初の倒叙型推理小説を発表
1942 その後も順調に執筆を続け、この年最終作「ジェイコブ街の謎」を80歳にして発表する
シリーズ探偵 ジョン・ソーンダイク博士 (Dr. John Evelyn Thorndyke)
怪盗 ロムニー・プリングル (Romney Pringle)(クリフォード・アッシュダウン名義)
ハンフリー・チャロナー教授
シャトルベリー・コッブ
フィリス・ダドリー
代表作 【ソーンダイク博士】
「オシリスの眼」「ダーブレイの秘密」
「歌う白骨」(短編集)

【ロムニー・プリングル】
「怪盗ロムニー・ブリングルの冒険」(短編集)

■著作リスト■

1 ソーンダイク博士登場作品リスト

2 怪盗ロムニー・プリングル登場作品リスト(クリフォード・アッシュダウン名義)

3 その他の主な作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
The Surprising Experiences of Mr. Shuttlebury Cobb 1927 - シャトルベリー・コッブ
The Queen's Treasure 1975 - C・アッシュダウン名義
未発表長編の単行本化

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
  A Savant's Vendetta
(米 The Uttermost Farthing)
1914 - ハンフリー・チャロナー教授
  1 The Motive Force   -  
2 Number One   -  
3 The Housemaid's Followers   -  
4 The Gifts of Chance   -  
5 By-Products of Industry   -  
6 The Trail of the Serpent   -  
7 The Uttermost Farthing   -  
  The Exploits of Danby Croker, Being Extracts from a Somewhat Disreputable Autobiography 1916 - ダンビー・クローカー
  1 The Changeling   -  
2 The Prison-Breaker   -  
3 真鍮の蛇
(青銅の蛇)
  創元文庫104-29「完全犯罪大百科/下」('80)
HMM'77.7
 
4 The Constable's Helpmate   -  
5 A Votive Candle   -  
6 The Emperor's Keepsake   -  
7 Woman and Superwoman   -  
8 The Good Samaritan   -  
9 The 'Prison Joseph'   -  
10 Perter Mockett's Legacy   -  
11 Aunt Jemima   -  
12 The Heavenly Twins   -  
13 Susannah's Dowry   -  
  Flighty Phyllis 1928 - フィリス・ダドリー
  1 The Understudy   -  
2 The Minotaur   -  
3 Mr. Shylock   -  
4 A Variety Entertainment   -  
5 A Double Capture   -  
6 Storm and Sunshine   -  
7 Love and a Graven Image   -  

【クリフォード・アッシュダウン名義の短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
  From a Surgeon's Diary 1975 - 1904〜05年雑誌掲載作品の復刻
  1 The Adventure at Heath Crest   -  
2 How I Acted for an Invalid Doctor   -  
3 How I Attended a Nervous Patient   -  
4 How I Met a Very Ignorant Practitioner   -  
5 How I Cured a Hopeless Paralytic   -  
6 How I Helped to Lay a Ghost   -  

【邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
棺桶舟   新青年'26.3 原題不明
黄金の瓶  

【評論・エッセイその他】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
探偵小説の技法 1924 成甲書房「ミステリの美学」('03)
パシフィカ 名探偵読本5「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」('79)
研究者出版「探偵小説の詩学」('76)
評論
ソーンダイク博士をご紹介   パシフィカ 名探偵読本5「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」('79) エッセイ

【参考】「ソーンダイク博士の事件簿 I & II 」(創元推理文庫)
 


ミステリー・推理小説データ・ベース Aga-SearchTOPへ