出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
460 |
名探偵シャーロック・ホームズとワトスン博士の生みの親として、不滅の名声を獲得したコナン・ドイル。数々のホームズ譚は愛読者から《聖典》とさえ呼ばれ、ドイル=ホームズを抜きにして探偵小説の歴史を語ることはできないほどである。しかしながら、ドイルの活動は探偵小説の執筆だけにはとどまらなかった。世の中の間違いを正すためにひと肌ぬぎ、おのれの信ずることを熱意をこめて人々に説くという、社会改革家あるいは宗教家としての側面ももちあわせていたのである。
密室ものの王者ジョン・ディクスン・カーは、二年間他の仕事を一切絶ち、本書の執筆にうちこんだ。一九三〇年にアーサー・コナン・ドイル卿がこの世を去ったときに自宅に残されていた備忘録、手紙、日記、新聞・雑誌の切抜きなどを徹底的に調べあげ、それらの資料をもとに、冷徹な眼と、明るく軽妙で機知に富んだ筆致で、熱血漢ドイルの波瀾と冒険に満ちた生涯を敬愛の念をこめて描き出したのである。これこそまさにコナン・ドイル伝の決定版といえよう。 |