ミステリー・推理小説データベースTOPホームズ時代

クリスティー、カーに影響を与えた、トリック創作率No.1の作家

UK G・K・チェスタトン
(Gilbert Keith Chesterton)

探偵小説の世紀/下
「探偵小説の世紀/下」より
(G・K・チェスタトン編)
(東京創元社)

ブラウン神父の童心
「ブラウン神父の童心」
(1911年)
(東京創元社)
 イギリスの作家でホームズのライヴァルとして有名な〈ブラウン神父〉シリーズの生みの親です。
 このブラウン神父譚は独特の逆説と警句で、コナン・ドイルの〈シャーロック・ホームズ〉譚と双璧をなす短編傑作集と評されています。

 どちらかというとエキセントリックな超人探偵の活躍を描くことが多いこの時代の作品の中ではトリックを中心としたもっとも本格度の高い作風をもつ作家で、またトリック創作率ではこの時代の作家の中では群を抜いており、後世の作家たちにも多大な影響を与えています。

 具体例を挙げれば黄金時代の代表的作家であるミステリーの女王アガサ・クリスティーや不可能犯罪の巨匠ジョン・ディクスン・カーもこのチェスタトン作品の愛読者だったといわれています。

 〈ブラウン神父〉譚はこのようにトリックの教科書的な意味合いを持ち、これから本格ミステリを書きたいと思っている方にとっては必読の書といえるでしょう。
 ミステリの分野では作家活動以外でも、1928年にアントニイ・バークリーらが中心となって結成されたミステリ作家の親睦団体〈ディテクション・クラブ〉にも参加し、その初代会長を務めています。

 作家としてだけでなく様々な分野で活躍した人物で、イギリスでも有数の文芸評論家であり、〈デイリー・ニューズ〉紙などでジャーナリストとしても活躍し、詩人・画家でもありました。

 また、黄金時代の名作「トレント最後の事件」(1913年)の著者E・C・・ベントリーとは、聖ポール校在学以来の無二の親友だったそうで、チェスタトンの長編ミステリー「木曜の男」はこの親友ベントリーに捧げられ、そのお返しにベントリーは「トレント最後の事件」をチェスタトンに捧げています。

 余談ですが、チェスタトンは大変体が大きかったそうで、バスで席を譲ったら3人座れたという話も残っています。 また、その風貌はディクスン・カーの生んだ名探偵ギデオン・フェル博士のモデルになったとも言われています。
木曜の男
「木曜の男」
(1908年)
(東京創元社)

■作家ファイル■

出身地 イギリス、ロンドンの西郊ケンジントンのキャムデンヒル
学歴 セントポール学院からロンドン大学付属のスレイド美術学校に進む
セントポール学院時代の親友としてE・C・ベントリーがいる
生没 1874年5月28日(自説では29日)〜1936年6月14日
作家としての経歴
1908 長編「木曜の男」を発表。親友ベントリーに捧げられる。
1910 知り合いのジョン・オコンナー神父をモデルにしたブラウン神父の活躍する最初の作品「青い十字架」を〈ストーリーテラー〉誌に発表
1911 第1短編集「ブラウン神父の童心」を発表
その後、1935年までに、5短編集全51短編のブラウン神父ものを発表する
1928 この頃、バークリーを中心にミステリ作家の親睦団体ディテクション・クラブが設立され、その初代会長を務める
1931 連作リレー長編「漂う提督」に参加
1937 チェスタトンの没後、オコンナー神父により「ブラウン神父チェスタトンを語る」が著される
シリーズ探偵 J・ブラウン神父 (Father J. Brown)
バジル・グラント (Basil Grant)
ホーン・フィッシャー (Horne Fisher)
ガブリエル・ゲイル (Gabriel Gale)
代表作 【ブラウン神父】
「秘密の庭」「奇妙な足音」「見えない男」
「犬のお告げ」「手早いやつ」(以上全て短編)

【ノンシリーズ】
「木曜の男」
ランキング EQアンケート5位

■著作リスト■

1 ブラウン神父登場作品リスト

2 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
新ナポレオン奇譚 1904 春秋社 チェスタトンの1984年('84)
春秋社 G.K.チェスタトン著作集10('78)
 
木曜の男
(木曜日の男)
(木曜日の人)
1908 創元推理文庫110-6
HPB168
東都書房 世界推理小説大系10('63)
東京創元社 世界推理小説全集5('56)
早川書房 世界傑作探偵小説シリーズ6('51)
金剛社 怪奇探偵叢書('26)
E・C・ベントリーに捧げられた作品
EQアンケート92位
The Ball and the Cross 1910 -  
Manalive
マンアライヴ
1912 論創社 論創海外ミステリ54('06)  
The Flying Inn 1914 -  
The Return of Don Quixote 1927 -  

【リレー長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
漂う提督 1931 早川文庫73-1
HMM'80.7-9
 

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
  奇商クラブ
(奇商倶楽部)
1905 創元推理文庫110-7
東京創元社 世界推理小説全集55('58)
新青年'31新春増刊(抄訳?)
バジル・グラントもの
創元文庫版は他2中編所収
  1

ブラウン少佐の大冒険

     
2 痛ましき名声の失墜      
3 牧師はなぜ訪問したか      
4 家屋周旋業者の珍種目      
5 チャッド教授の奇行      
6 老婦人軟禁事件      
  The Man Who Knew Too Much
(知りすぎた男)
1922 -  
  1 The Face in the Target
標的の顔
  HMM'86.12 ホーン・フィッシャーもの
2 The Vanishing Prince
消えるプリンス
  HMM'86.12 ホーン・フィッシャーもの
3 The Soul of the Schoolboy   - ホーン・フィッシャーもの
4 The Bottomless Well   - ホーン・フィッシャーもの
5 The Hole in the Wall   - ホーン・フィッシャーもの
6 The Fad of the Fisherman   - ホーン・フィッシャーもの
7 The Fool of the Family
(The Temple of Silence)
  - ホーン・フィッシャーもの
8 The Vengeance of the Statue   - ホーン・フィッシャーもの
9 The Garden of Smoke
煙の庭
(煙りの園)
  宝石'57.11
新青年'29新春増刊
 
10 The Five of Swords   -  
11 背信の塔   創元推理文庫110-7「奇商クラブ」  
12 驕りの樹
(孔雀の樹)
  創元推理文庫110-7「奇商クラブ」
別冊宝石53('56)
春陽堂 探偵小説全集11「生ける寶冠 孔雀の樹」('30)
新青年'26新春増刊
 
  Tales of the Long Bow 1925 -  
  1 The Unpresentable Appearance of Colonel Crane      
2 The Improbable Success of Mr. Owen Hood      
3 The Unobtrusive Traffic of Captain Pierce      
4 The Elusive Companion of Parson White      
5 The Exclusive Luxury of Enoch Oates      
6 The Unthinkable Theory of Professor Green      
7 The Unprecedented Architecture of Commander Blair      
8 The Ultimate Ultimatum of the League of the Long Bow      
  The Sword of Wood 1928 -  
  詩人と狂人たち
(詩人と狂人達)
1929 創元推理文庫110-8
東京創元社 世界推理小説全集32('57)
国書刊行会 世界幻想文学大系12('84)
ガブリエル・ゲイル
EQアンケート40位
  1 おかしな二人連れ      
2 黄色い鳥      
3 鱶(ふか)の影      
4 ガブリエル・ゲイルの犯罪      
5 石の指      
6 孔雀の家      
7 紫の宝石      
8 危険な収容所      
  四人の申し分なき重罪人 1930 国書刊行会 ミステリーの本棚5('01)  
  1 穏和な殺人者      
2 頼もしい藪医者      
3 不注意な泥棒      
4 忠義な反逆者      
  ポンド氏の逆説 1937 創元推理文庫110-9
東京創元社 世界推理小説全集56('59)
 
  1

三人の騎士
(三人の黙示録の騎士)

  国書刊行会 バベルの図書館1「アポロンの眼」('88)
筑摩書房 ちくま文学の森「ことばの探偵」('88)
 
2 ガーガン大尉の犯罪      
3 博士の意見が一致すると…      
4 道化師ポンド      
5 名ざせない名前      
6 愛の指輪      
7 恐るべきロメオ      
8 目だたないのっぽ
(めだたないノッポ)
(丈の高い話)
  講談社文庫「世界スパイ小説傑作選1」('78)
新青年'36夏季増刊
 
  Daylight and Nightmare 1986 - 初収録作数編含むアンソロジー、マリー・スミス編
  1 The Angry Street: A Bad Dream
怒りの歩道―悪夢
1908 筑摩書房 英国短篇小説の愉しみ2「小さな吹雪の国の冒険」('99)  
2 Chivalry Begins at Home 1925    
3 Concerning Grocers as Gods    
4 The Conversion of an Anarchist 1919    
5 A Crazy Tale 1897    
6 Culture and the Light 1927    
7 The Curious Englishman 1907    
8 The Dragon at Hide-and-Seek
竜とカクレンボ
1924 早川文庫 FT28 ファンタジイ傑作集2「ビバ!ドラゴン」('81)  
9 Dukes 1909    
10 The End of Wisdom 1931    
11 A Fish Story 1925    
12 The Giant 1908    
13 The Great Amalgamation 1927    
14 Homesick at Home 1896    
15 How I Found the Superman 1908    
16 A Legend of Saint Francis 1926    
17 The Legend of the Sword 1928    
18 The Long Bow 1908    
19 A Nightmare 1907    
20 On Private Property 1927    
21 On Secular Education 1928    
22 The Paradise of Human Fishes 1925    
23 Picture of Tuesday 1896    
24 A Real Discovery 1925    
25 The Roots of the World 1907    
26 The Second Miracle 1927    
27 The Sword of Wood 1913    
28 The Taming of the Nightmare 1892    
29 The Three Dogs 1928    
30 驕りの樹
(孔雀の樹)
  創元推理文庫110-7「奇商クラブ」
別冊宝石53('56)
春陽堂 探偵小説全集11「生ける寶冠 孔雀の樹」('30)
新青年'26新春増刊
再収録
31 The Two Taverns 1926    
  Thirteen Detectives 1987 - マリー・スミス編のアンソロジー
  1 Dr. Hyde, Detective, and the White Pillars Murder
白柱荘の殺人
  EQMM'57.8  

【その他の短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
奇怪なる肖像画   新青年'29夏季増刊 原題不明
アーサー卿の失踪   新青年'33.5
怪奇雨男   新青年'38新春増刊
赤勝て青勝て   新青年'39特別増刊
離亭殺人事件   新青年'39夏季増刊

【編書】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
探偵小説の世紀/上 1935 創元文庫110-10  
探偵小説の世紀/下 創元文庫110-11  

【評伝】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
Charles Dickens
チャールズ・ディケンズ
1906 春秋社 G・K・チェスタトン著作集 評伝篇2('92)  
George Bernard Shaw
ジョージ・バーナード・ショー
1909 春秋社 G・K・チェスタトン著作集 評伝篇4('91)  
William Blake
ウイリアム・ブレイク ロバート・ブラウニング
1910 春秋社 G・K・チェスタトン著作集 評伝篇3('91)  
Robert Louis Stevenson
ロバート・ルイス・スティーヴンソン
1927 春秋社 G・K・チェスタトン著作集 評伝篇5('91)  
Chaucer
チョーサー
1932 春秋社 G・K・チェスタトン著作集 評伝篇1('95)  

【評論】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
A Defence of Detective Stories
探偵小説を弁護する
1901

成甲書房「ミステリの美学」('03)

 

【その他の主な著作】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
Heretics
異端者の群れ
1905 春秋社 G.K.チェスタトン著作集5('90)  
Orthodoxy
正統とは何か
1909 春秋社(新装版)('95)
春秋社 G.K.チェスタトン著作集1('90)
 
Tremendous Trifles
棒大なる針小
春秋社(新装版)('99)
春秋社 G.K.チェスタトン著作集4('88)
文学論・随筆集
The Victorian Age in Literature
ヴィクトリア朝の英文学
1913 春秋社 G.K.チェスタトン著作集8('79)  
St. Francis of Assisi
久遠の聖者
1923 春秋社 G.K.チェスタトン著作集6('89)  
The Everlasting Man
人間と永遠
1925 春秋社 G.K.チェスタトン著作集2('89)  
The Outline of Sanity
正気と狂気の間
1926 春秋社(新装版)('99)
春秋社 G.K.チェスタトン著作集9('77)
社会・政治論
The Resurrection of Rome
ローマの復活
1929 春秋社 G.K.チェスタトン著作集7('77)  
Autobiography
自叙伝
1936 春秋社(新装版)('99)
春秋社 G.K.チェスタトン著作集3('88)
評論風自伝
10 The Coloured Lands
色とりどりの国
1938 教文館('87)
講談社文庫 イギリスファンタジー童話傑作選「銀色の時」('86)
青年期の精神の遍歴、時代相を綴ったもの
11 老爺戯作集   渓水社('97) 詩とスケッチ
12 求む、有能でないひと   国書刊行会('04) 時事コラム

【参考】「木曜の男」(東京創元社 創元推理文庫)
 


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